抄録
目的: HIV感染は免疫細胞への影響のみならず, 生殖器への影響も疑われている. そこで男性HIV感染者の妊孕性に与える影響をみるために, 精液検査所見について検討した.
方法: 当院通院中の男性HIV感染者18症例, 26検体を対象とし, 精液所見の評価として, 精子濃度, 運動率, 運動性について調べ, 採取時の精液中及び血中のウイルス量を測定した. 患者背景として感染経路, 治療歴, 治療法, CD4値について検討した.
結果および考察: HIV感染は男性の妊孕性に影響を及ぼす可能性が示唆された. また, 治療により精液中ウイルス濃度を低下させることは可能であると考えられた. しかし, 血中および精液中ウイルス値・CD4値・治療歴と精液所見の間に有意な相関は明らかではなかった.