日本エイズ学会誌
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米国在住日本人HIV感染者の医療・社会資源活用状況および性行動と薬物使用に関する研究
根本 透橋本 充代日高 庸晴岳中 美江鬼塚 直樹
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2003 年 5 巻 1 号 p. 17-26

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抄録
目的: 米国在住日本人HIV感染者の医療受診, AIDS Service Organization (ASO) 等の援助組織の社会資源利用状況, 及びHIV感染関連行動を明らかにすることにより, HIV感染者を対象とした医療, 及び心理・社会的援助介入プログラムの充実を図る.
方法: 対象者は, サンフランシスコ, ロスアンジェルス, ニューヨーク市在住の日本国籍HIV感染者25名である。対象者は, ASOで働く日本人カウンセラーを介して募られ, 対面又は電話による質的半構造化インタビューが匿名で行われた.
結果: 殆どの対象者が米国市民権・永住権所持に関わらず, 医療保険 (AIDS Drug Assistance Program等) やASOの提供する社会的サービスを享受していた.対象者の80%が性的接触による感染で, 60%が過去1年間にカジュアルセックスをしていた.アナルセックスに比べオーラルセックスでのコンドーム常時使用者は低く, 44%が飲酒・薬物影響下でのカジュアルセックスがあった.
結論: 米国在住日本人HIV感染者は, 現在享受しているHIV治療や医療保険に満足していたが, 精神面でのさらなるサポートの必要性が明らかになった. 今後, HIV・性感染症予防のため, HIV感染者である在米日本人やアジア系移民を対象にしたセイフセックス (オーラルセックス時のコンドーム使用等) を促進するための, 社会・文化・環境面での調査研究の必要性が示唆された.
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