日本エイズ学会誌
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北関東甲信越地区の病院により管理されているHIV感染者の実態調査
歯科治療に関するアンケート調査から
山中 正文高木 律男下条 文武塚田 弘樹内山 正子
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2006 年 8 巻 3 号 p. 154-162

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抄録
目的: HAART療法の普及に伴い, 医療管理下に日常生活をおくるHIV感染者は急増しており, 今後, 歯科医療機関を受診するHIV感染者が増加することは確実である.したがって, 歯科医療体制の整備が急務であることは論を待たない.しかし, HIV感染者は, 疾患の進行に対する不安とともに, 感染症に関するプライバシーの問題を感じているため, この点を配慮しない歯科医療体制作りは無意味である.今回, 私たちは, HIV感染者が, より安心して治療を受けられる歯科診療体制作りを提言する目的で, 北関東甲信越地区の病院において管理されている患者を対象にアンケートを行った.
方法: 実施期間は平成17年2月から3月の2か月間で, 調査項目は患者の基本情報, HIV/AIDSについての病状・治療状況, 過去に受けた歯科治療, 今後の歯科治療に対する要望, その他の意見・希望の自由記入とした.参加施設数は11施設でアンケート協力者数は86名であった.
結果: 管理下におかれている病院での歯科治療では, HIV感染の事実を申告していたが, 開業歯科医院において診察を受けた経験のある7名は, 感染の事実を申告しないで治療を受けていた.また, 現段階での歯科治療を受ける場所として, 管理されている病院の歯科を希望していることが明らかになった.しかし, 通院の問題や救急時の対応のため, 歯科診療を受け入れてもらえる施設が居住地に近接して存在することへの希望も多かった.
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