抄録
本稿では, 任意のトポロジーを有する3次元物体の形状モデリングを行うための前処理として, 全周囲距離画像の領域分割を行うクラスタリング手法を提案する. 本手法の特徴は二次曲面をクラスタとして用いる点と,クラスタ数を自動決定するために, 2つのステージから構成される点にある. 最初のステージでは,データを逐次学習することで必要なクラスタを自動生成する. しかし,このステージでは冗長なクラスタが多数生成されるという問題がある. そこで第2ステージにおいて競合型クラスタリングアルゴリズムを適用し, 冗長なクラスタを淘汰する. 一方,二次曲面の中にはクラスタとして用いるにはふさわしくないと考えられる形状も存在する. そこで,本手法ではクラスタの形状限定を行うことにより, 形状モデリングに適したクラスタのみを獲得できるため有意な領域分割が可能である. また, 実測の全周囲距離画像を用いた実験により, 良好な領域分割を実現できることが確認された.