抄録
細胞診断は病変の有無を確定する重要な診断であり,病理専門医等が細胞や核の状態等から総合的に診断している.しかし,正確な診断を行うには豊富な経験が必要であり,客観的評価が可能な定量的指標による診断補助が期待されている.従来より,細胞核の大きさや周囲長,核内部のクロマチン構造の複雑度などの定量的評価法が提案されているが,本研究では,4等分した核の濃度和分散等を用いたクロマチン分布の偏在性を新たな定量的指標として提案する.子宮頸がんの細胞診用検体の顕微鏡画像を利用し,正常細胞と化生細胞,再生細胞,上皮内癌,扁平上皮癌の5種類の細胞間で定量的指標による区別が可能か否かを調べた結果,提案法を取り入れることで判別率が高まることを確認した.