UV オフセット印刷技術を用いた点字印刷及び触知図印刷の開発と普及啓発

抄録

欧文印刷株式会社は、2011 年よりUV オフセット印刷技術を用いた点字印刷・触図印刷の研究開発を 行ってきた。紫外線硬化型樹脂透明インキを使用した点字印刷技術及び触図印刷技術は、既に従来印刷技術を用 いた製品ができており、研究者による識別容易性の知見も報告され、JIS 規格（JIS T 9253 紫外線硬化樹脂イ ンキ点字－品質及び試験）も制定されている。紫外線硬化型樹脂透明インキを使用した点字印刷技術及び触図印 刷技術は、文字や絵柄の視認性を損なうことなく、一般の晴眼者用印刷物上に点字や触図を印刷することができ るために、視覚障害者と晴眼者とが共通の情報を得ることができるものとして、その普及が期待されている。 しかし、従来印刷技術による紫外線硬化型樹脂透明インキを用いた点字印刷・触図印刷は、設置式の構内図な どには利用されてはいるが、それ以外の配布型の印刷物にまで普及しているとは言い難い。著者らが開発した UV オフセット印刷技術による点字印刷及び触図印刷は、視覚障害者の日常生活に必要な印刷物（カレンダー、 マニュアル、路線図、構内図など）を大量に早く製作することができる。 著者らは、それらを晴眼者とのコミュニケーションができるユニバーサルデザインの印刷物として普及させ、 視覚障害者の自立支援のアイテムのひとつとなることを意図している。 これまでの研究開発の取組み経過を報告し、今後の普及啓発について考察する。