抄録
彩度の高い物体よって遮蔽された場合に生じる影の除去手法を提案する。
通常、影は照明が直接、照射している領域(日向領域)に比較して暗い領域であるが、遮蔽物体の色の彩度が高い場合には、影に遮蔽物体の色味が反映され、明るさ以外の色変化が生じる。そのため、従来の影除去手法を適用すると、影の一部が遮蔽物体と同じ色領域と判定されるために、影領域の全てを除去できないという問題がある。この問題は、色と明るさ成分が混在したRGB空間で色領域の分割(クラスタリング)を行っているために生じると考えられる。そこで、本研究では、色みと明るさの成分を個別に扱うことのできるHSV色空間を採用し、遮蔽物体の色が影に映り込んでいる場合であっても、影領域、日向領域、および遮蔽物体の領域を正しく分離することで影領域除去を行う手法を提案する。実画像に適用し、本提案手法の有効性を示す。