日本建築學會論文集
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8.二層建築物に於ける床板変形の横力分布に及ぼす影響に就いて : 壁体がI・II層に上下に通つてゐる場合・第1報
山田 孝一郎
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1956 年 52 巻 p. 56-67

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抄録

有壁無壁ラーメンより構成されている建物で、耐震壁間の距離が大きくなると、床版が水平方向に曲げ及び剪断変形をするため、壁体間の中央部分にあるラーメンは、壁体附近にあるラーメンよりも其の変形が著しく大きくなり、その負担剪断力も著しく増大する事が考へられる。従つて、地震力による各垂直構間の横力分布は、従来の床剛仮定時の分布法では不充分である。この事柄を、一層建築物について取扱いました研究は、今まで二、三見られるのでありますが、本文に於いては、二層建築物の場合を取扱い、その一般的性質を明白るにすために理論的検討を行い、この様な問題に対する将来の設計上の指針を求めようとするものである。解の誘導に当りては、床版の変形は剪断及び曲げ変形を考慮するも、特に床版の曲げ変形に対しては、式の取扱いの便宜上、端部条件を固定とし、又桁行方向の抵抗(桁行方向に配置されたる耐震壁、柱…壁付柱、梁…壁付梁等)は無視すると云う仮定をなし、加力時に於ける床版の変形の連続性、弾性比例の法則、力の釣合条件より、屋根床版及びII階床版に就いて、各々差方程式を導き、この方程式の聯立と、耐震壁との連続性の境界条件より解を求めたものである。内容としては、[I]建物の両端に耐震壁を有する場合[II]建物の両端及び途中に耐震壁を有する場合[III]建物の一端及び途中に耐震壁を有する場合に就いて、それぞれの解を求め、梁行方向のスパン数の種々変化せる場合、壁体剛性の変化せる場合等の数値計算例を行い、且つ、これ等の値を床剛仮定値と比較した。更に、或階に作用せる地震力が、他階の床版変形に如何なる影響を与へるかを調べるための数値計算も行ひ、床版変形の横力分布に及ぼす影響を具体的に検討せるものである。

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© 1956 一般社団法人日本建築学会
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