2006 年 15 巻 4 号 p. 373-379
本研究は5つの要因を考慮して小麦栽培の可能性を検討した。要因として小麦生産力、収穫期間、労働生産性、相対的経済関連要因、潜在的利益などがある。後の3要因は労働力利用可能性、農産物価格および生産費などから求め、小麦生産力及び収穫期間は作物シミュレーション・モデルから求めた。
労働生産性は小麦の栽培期間中の労働必要量と利用可能労働量の比率で定義した。相対的な経済価値は小麦栽培による潜在的な利益と生産費の差から求めた潜在利益と主な既存作物から得られる利益との比率と仮定した。これら基準と空間変動に対応するため、本研究ではGISツールに従来の調和化プログラミング (CP) を拡張強化した空間調和化プログラミング (SPC) 手法を適用した。最適な調和化では理想値からすべての基準に最小Lpメトリック値でその累積距離が示される。それらは意思決定者によるウエイト値の決定により変わるが、研究対象のロンボク島では初期ウエイト価値の適用により、小麦の栽培適地が島の中央部に位置している結果が得られた。