農業情報研究
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原著論文
営農計画システムへの導入を目的とした農薬使用の環境リスク指標と経済性指標の統合化手法
佐藤 正衛南石 晃明菅原 幸治亀屋 隆志
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2007 年 16 巻 1 号 p. 22-32

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抄録

農薬使用による環境負荷を考慮した意思決定支援システムへの導入を目的として,選択した農業技術から農薬使用の環境リスクと経済性の両指標を統合した経営情報を導出する手法を提案した.  まず,農業技術を選択することにより農薬使用の環境リスク指標と経済性指標を同時に得るアルゴリズムを設計した.次に,設計したアルゴリズムを実際のデータから計算するために,農薬使用の環境リスク指標として「農薬の使用農地危険度」を定義した.そして,この指標を基礎に,農薬使用の環境リスクを農業技術について評価するための指標として「農薬使用の技術危険度」を提案した.この技術指標を用いることにより,PRTR対象の有効成分を含む農薬を利用する農業技術について,環境負荷の潜在的可能性を数量化することが可能となった.  さらに,設計したアルゴリズムを農業技術体系データベースのデータに適用し,技術選択から農薬使用の環境リスクと経済性の両指標の導出が可能であることを確認した.この計算結果に基づき,環境リスク指標としての農薬使用の技術危険度の有効性および経済性指標と統合的に利用して農業技術を評価する意義を検討した.その結果,両指標を統合的に用いることにより,農薬使用の環境負荷と経済性の程度を,選択した技術と関連づけて検討することが可能となり,農業技術の評価,営農計画に関する有用な経営情報を導くことができることを示した.

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© 2007 農業情報学会
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