農業情報研究
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特集:東アジア地域における食料流通・食品の安全確保と情報技術の応用
食の安全確保と情報技術の展望
南石 晃明
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2008 年 17 巻 4 号 p. 161-170

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抄録

安全な食料を持続的に供給できる次世代フードシステムは,「環食不二」(筆者の造語)という理念に基づいてデザインすることが望まれる.つまり,農畜水産物の生育環境から始まり,生産,加工,流通,食事,食物の摂取・代謝,そして残渣・廃棄物処理までの全過程をフードシステムとして認識することが重要である.食の安全とリスクは表裏一体であり,フードシステム全体で食の安全性を向上させるためには,食にまつわる多様なリスクについて研究する必要がある.このようなリスクは,食品そのものだけでなく,その生産を行う農業生産活動,その基盤となる耕地,土壌,水などの資源や環境にも潜んでいる.そこで,筆者は,これらの多様なリスクを,予知,低減,備え,という3つの視点から総合的に研究する新しい分野「食農資環リスク学」の創成を提案している.特にその中でも農業生産,食品加工,食料流通段階におけるリスク低減においては,作業者の判断を支援し,違法・不適切な行為を警告し, 作業履歴を記録することが不可欠であり,情報通信技術が本質的な役割を果たすことになる.

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© 2008 農業情報学会
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