農業情報研究
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原著論文
工房製ナチュラルチーズに対する消費者の認知過程と情報探索
若林 勝史
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2009 年 18 巻 1 号 p. 8-16

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抄録

本稿の目的は,工房製チーズの消費者購買意思決定過程の特徴を明らかにし,その広告コミュニケーションのあり方を提示することである.分析の結果,次の点が明らかとなった.まず,工房製チーズの認知過程は,再生によるケースがごくわずかで,ほとんどが再認によって認知されていること,なかでも再認後にカテゴリ・ニーズが喚起されるケース(衝動買い)が40%前後を占めていることが特徴として挙げられた.このことから,認知目的の広告コミュニケーションでは,消費者にブランド名やパッケージをカテゴリ・ニーズと関連付けて記憶してもらうこと,また店頭で注意を引くような陳列を行うことが必要である.第2に,態度形成に関わって,購買前や購買時では認知的安全関与に基づいて情報探索が行われていること,逆に購買後には感情的品質関与が影響していることが明らかとなった.態度形成目的の広告コミュニケーションでは,購買前および購買時において消費者の安心を醸成する説得的な情報の伝達,また購買後には消費者の価値観やライフスタイルに訴えかける情動的メッセージの伝達が重要であることが示された.

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© 2009 農業情報学会
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