食品総合研究所が公開しているインターネット図鑑「貯穀害虫・天敵図鑑」のアクセス解析を実施した.各ページの訪問数は,基本的に,夏多く,冬少ない,規則的な季節変動を示したので,訪問数が昆虫の発生数と相関があることが示唆された.また,ときどき異常な訪問数増加が見られ,それに対応する社会現象(事件)が見つかった.発生件数や事件などと関係する訪問数はその昆虫に対する社会の注目度を表していると考えられるので,逆に訪問数を監視することによってその昆虫の注目度の変化にいち早く気づくことができるかもしれない.また,検索サイト経由で訪問した比率や他のサイトのリンク経由で訪問した比率というパラメータを基準にすると,この図鑑に掲載されている全53種の昆虫のうち,コクゾウムシとノシメマダラメイガの2種と,残りの51種の2グループに分けることができた.参照元の特徴から,これは社会への浸透度による分類が可能だと考えられる.つまり,私たちは,コクゾウムシとノシメマダラメイガを高浸透度害虫,それ以外の51種を低浸透度害虫と分類することを提案する.以上から,アクセス解析は社会調査の有力なツールになりうると考える.