農業情報研究
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原著論文
コンピュータビジョンを用いたカメムシの識別の検討
佐々木 豊皆川 祐希江
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2012 年 21 巻 2 号 p. 36-41

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抄録
自然災害以外の米の主要被害に虫害がある.その中でも,カメムシの吸汁によって生じる着色米が問題となっている.米の部分着色粒は斑点米と呼ばれ,食味や品質評価を低下させることから対策が急がれている.しかし,カメムシの分類のキーとなる形態は素人が見分けることが困難なものも多く,その同定は現場の農家でも難しい.このため,正確な同定が必要なときは,標本や写真を送付して同定を依頼するなど,その分類群に詳しい専門家が形態を目で確認して行うことが一般的である.しかし,この方法では同定に時間がかかり,依頼を受けた専門家の負担も大きい.特にカメムシなどの重要害虫には依頼が集中することが多く,同定に携わる専門家の負担が大きくなりがちである.そこで本研究では,送られてきた標本の画像情報を対象に,その同定がコンピュータビジョンで可能かの検討を行った.具体的には,得られたカメムシの画像情報を用い,5つの基本形状特徴量によりその識別の可能性を先ず調べた.次に,遺伝的プログラミング(GP)を用いて5つの形状特徴量を組み合わせ,識別のための新たなパラメータを自動生成し,その有効性の検討を行った.その結果,コンピュータビジョンを用いた斑点米カメムシの自動同定の可能性が示唆されたので報告する.
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© 2012 農業情報学会
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