抄録
切り花リンドウは岩手県における重要な花卉作物であるが,商品価値を長く保つために,収穫後,その生育レベルを適切に把握し,その状況に応じた保蔵・輸送計画を立てることが望まれる.しかし現状では,生育レベルの非破壊・非接触的な判定手法は開発されていない.庄野ら[庄野浩資・関朝美・松嶋卯月・小出章二・武田純一(2007)切り花リンドウ花弁の分光放射輝度の簡易測定による老花早期検出の可能性に関する検討,農業情報研究,16(3): 181-187]は,花冠の720 nm付近の遠赤光における分光反射情報に基づく若花と早期老花の判定の可能性を報告したが,そこでは破壊・接触的な測定方法が用いられ,また測定装置のコストも高いなど,同手法の実用化には課題があった.本研究では,まず,遠赤光の分光反射情報を低コストに測定する装置として,遠赤画像撮影装置を開発した.さらに,花冠の遠赤画像を非破壊・非接触的に撮影し,そこから求めた遠赤画像情報と生育レベル間の関連性を検討することで,同情報に基づく生育レベル判定の可能性を検討した.その結果,岩手県の有力品種であるエゾリンドウ系2品種において,同情報に基づいて若花と早期老花を高い正解率で判別可能であることを確認した.以上から,遠赤画像情報に基づくことで,切り花リンドウの生育レベルの低コストな非破壊・非接触的測定手法の実現は十分可能と考えられる.