抄録
近年,農業分野においてもセンサネットワークの研究が進められている. センサネットワークの研究がスタートした時点ではRF-IDなどのように急速に低コスト化されることが期待されたが,コストパフォーマンスはまだ低く,広範な普及には至っていない.本研究では,この問題に量産型フィールドサーバの設計・製造手法の面から取り組んだ.まず仕様に関する調査及び量産型フィールドサーバの試作機による評価実験を行った.その結果,地域や作物によって要求仕様が非常に異なることが明らかとなった.この結果に基づいて,実圃場での利用に適した量産型フィールドサーバの仕様を決定した.さらに,低コスト化と高品質化の相反する要求を満たすため,品質及び製品コストのトレードオフ関係に着目して品質管理及び信頼性工学の面から考察を行い,同時多次元設計を用いたモジュール構造を提案した.この設計・製造手法に基づいて試作した量産型フィールドサーバの評価実験を3カ所で実施し,コストパフォーマンスの向上を確認した.