農業情報研究
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原著論文
スマートフォンカメラによるバレイショ表皮のクロロフィル含有量及びアントシアニン含有量の推定
尾崎 英樹山田 龍太郎田宮 誠司三浦 秀穂杉浦 綾
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2014 年 23 巻 3 号 p. 132-139

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抄録
収穫後のバレイショは外部からの光刺激により表皮が緑化する.これは表皮の組織内部にクロロフィルを生成するためである.現在,バレイショの緑化度合の評価方法として目視によるものとクロロフィル定量によるものが挙げられるが,前者は主観的なものであるため,評価者による違いがあり,絶対量として定義できない.後者はクロロフィル含有量という客観的数値に基づいて評価できるものの,分析自体が手間であることや,破壊法であるため特に育種過程で増殖が必要なものには適用できない.そのため,非破壊で迅速な緑化度合の評価方法が求められている.本研究では,スマートフォンカメラで捉えたバレイショ表皮の画像から緑化の指標であるクロロフィル含有量を推定できる方法の開発を目的とした.画像から得られるバレイショ表皮の赤,緑,青の濃度値とクロロフィル含有量との関係を導き,決定係数0.95で推定できることを確認した.さらに,表皮の色を支配する要因としてアントシアニンが挙げられるため,同様に関係を導き,決定係数0.84を得た.ここで得られた推定方法により,スマートフォンカメラで捉えたバレイショの画像をその場で処理し,拡張現実技術を利用してディスプレイ上で各成分含有量を表示できるアプリケーションを試作した.
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© 2014 農業情報学会
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