農業情報研究
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原著論文
2変数入力のシステム同定法によるビニールハウス内の気温・飽差モデル―春秋期におけるモデルの短期間構築と評価―
中山 信高田 拓木村 竜士岡 宏一
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2021 年 30 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

ビニールハウス内の気温や飽差のモデル構築は,ハウス環境を予測して制御する場合に重要である.本研究では,面積100 m2程度の小型ハウスですぐに制御環境を整えられるように,入力変数の数を抑えた単純なシステム同定法による気温・飽差モデルの構築を行った.ピーマンを栽培しているビニールハウスにて,2018年秋と2019年春の無加温の時期に計測したデータを利用し,代表的な線形ARX(Auto-Regressive eXogenous)モデルとOE(Output Error)モデルによる気温・飽差モデルを作成し,評価した.構築モデルは,ハウス外気温とハウス内日射量の2変数入力からハウス内気温を出力する気温モデルと,ハウス外飽差とハウス内日射量の入力からハウス内飽差を出力する飽差モデルとした.評価の結果,モデル構築に必要なシステム同定期間は5日間程度で十分であり,出力気温(飽差)を実測値と比較すると,春期には2週間程度までFit率70(75)%程度の高い精度を維持できるが,秋期にはFit率70(80)%程度を維持できるのは1週間以内であった.本手法では,モデルの入力変数が少ないため,設置センサ数を少なくでき,センサ設置後1週間以内にはモデル構築を始められることが示唆された.

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