2023 年 31 巻 4 号 p. 95-110
本稿は,これまでに筆者らが市販キットを応用して開発した農家自作型IoTシステムを,施設型の作物における実用的なシステムとすることを目的に,新たに接続したCO2センサが実用に耐える機能を有するか,および費用に対して効果が上回ると経営者が判断できるかを確認することを第一の課題とした.また,第二の課題として,測定誤差やセンサの劣化の影響,季節的な変化を含む計測値に対して,計算能力の低い同システムを前提としながら状態空間モデルを用い,温度やCO2の値の分散により異常値を検出できることを明らかにする.この課題解明のため,キクラゲ施設とイチゴハウスにおいて実用試験に供した.試験の結果,キクラゲ施設,イチゴハウスとも,実用的と認められるCO2濃度の計測および値の送信ができた.また効果は費用を上回ると経営者に評価された.計測値にセンサの劣化や季節的変化の影響を含むイチゴハウスにおける異常値検出の方法として,Pythonの機械学習ライブラリを用いたパラメータの推定を作業用PCで実施し,計測した値をもとにした簡単な計算のみをIoTシステムに計算させる二段階の計算方法を開発した.これにより,効果的に異常値を検出できることを明らかにした.