2024 年 33 巻 2 号 p. 65-72
果樹では熟練を要する作業が多く,新規就農を阻害する要因となっている.ユズの収穫および選果作業も,収穫では枝梢のトゲによる傷の発生や,選果では繁忙期の指導時間の不足から習得に時間を要する.そこで,これら作業の学習支援要点を可視化し,要点に基づき作成した学習コンテンツの学習効果を検証した.まず,上級者の動画,アイトラッキングデータおよび聞き取りを通じて,収穫に関する「動作」,「判断」および「結果」の10項目と選果に関する6項目を抽出し,定量化ののち,中級者または初心者の作業と比較した.上級者と中級者または初心者との間で差があった「判断」の項目を中心に,学習コンテンツ(クイズ形式の問題は収穫21問,選果528問,作業解説動画は収穫,選果各1問)を作成した.学習効果を作業未経験者で調査した結果,収穫では採果はさみによる傷および枝梢のトゲによる傷が有意に減少し,選果では果実の同じ面を何度も見ずに一目で選果を終えた割合が有意に増加した.したがって,初心者が学習コンテンツを用いて繰り返し学習することは,収穫および選果作業の「判断」に関係する知識の向上につながることが示唆された.