2018年から南九州において,サツマイモの株が立ち枯れ,塊根が腐敗するサツマイモ基腐病が多発し,収量減少が深刻な問題となった.現在では,防除対策が進み,被害も低減しているが,予断を許さない状況である.本研究では南九州の基腐病の被害甚大な地区における被害程度と防除対策の実施状況に関して3ケ年にわたり調査を実施した.収集したデータを用いて防除対策の組み合わせを可視化できるネットワーク図を作成した.ネットワーク図から基腐病の被害低減のためには,適切な苗消毒および抵抗性品種の導入を前提として,土壌残渣リスクを低減すること,排水対策を実施することが重要であること等が分かり,これらは統計的にも明らかなった.また,排水対策が十分に実施できない圃場では10月までに早期収穫を行うこと,農薬散布を組み合わせることで被害が低減できることも示唆された.調査地区では3ケ年に渡り,土壌残渣リスクの低減,排水対策,抵抗性品種の導入,早期収穫等の有効な防除対策が多くの圃場で着実に実施されており,このため,被害低減へと推移していた.