抄録
筆者は,本学大学院での日本語教育実習を通じ,授業改善のための課題を探ってきた。三学期にわたる実習を経て,学習者の誤用への対応(訂正フィードバック)が最終的な課題として残った。そこで,海外日本語教育実習における筆者の担当授業を分析し,どのような訂正が行われているかを調査した。その結果,答えを学習者に与えるリキャストより,学習者に自己修正を促すプロンプトを多く使用していることが分かった。具体的な訂正方法としては,プロンプトの一つである誘導とリキャストを同程度使用していたが,その使用方法に問題があった。また,訂正を行うだけで,使い方の説明を行っていなかった。これらの問題点を踏まえ,より効果的な訂正を行うための方策を,訂正フィードバック,授業構築,訂正時の工夫の3つの点から考察した。