抄録
近年、都市化によるヒートアイランド(UHI)や大気汚染により、大都市周辺にて落雷頻度の高い領域が出現するとの報告がある(Steiger and Orville, 2002, Naccarato et al, 2003)。この原因として、UHIによる雲内の上昇流の強化やエアロゾル粒子による雷雲の変質などを挙げているが、詳細は不明である。本研究は東北電力(株)所有の落雷位置評定システム(LLS)を用いて、夏季関東地方首都圏周辺における1994~2008年の落雷頻度分布を調査し、特に都心周辺でのUHIが落雷パターンに与える影響を明らかにすることを目的としている。当発表では、うち2000~2008年における落雷頻度データを集計した結果、および都心周辺に落雷した事例を対象にレーダー、アメダスデータを併用して事例解析を行った結果を報告する。