日本地理学会発表要旨集
2009年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S405
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沖縄における回游魚シイラと人との関わり
環太平洋域における「聖なる魚」「雑魚」「高級魚」としての利用を比較
*橋村 修
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キーワード: シイラ, 沖縄, 文化, 変化, 地域振興
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抄録

本報告では、伝統的な形態のシイラ漁とシイラの天日干し加工をおこなっている沖縄本島国頭村(国頭漁協)宜名真を事例に、沖縄における回游魚シイラと人との関わりを論じ、環太平洋域における「聖なる魚」「雑魚」「高級魚」としてのシイラ利用について比較検討する。まず、「雑魚」として見られがちのシイラをなぜ取り上げるのか論じる。本報告の論点は次の4つを予定している。 1.地域文化としてのシイラ(パヤオを入れる慣習、シイラ招き儀礼)(沖縄でも、地域によってはサンゴ礁域に入るシイラが毒性の菌を持つため、中毒が出て、嫌われている)、2.ソデイカ漁(カツオ マグロ、トビウオ)やサトウキビ農業の新たな展開によるこの約30年での漁業(シイラ)を軸とした生業複合の変化、3.シイラを使った村おこし行事の試み(平成12年13年のフーニュイユとパヤオ祭り)、2007年2008年の南太平洋からのシイラ浮き(小パヤオ)漁業研修、4.シイラと人との関わりをめぐる比較地域論(台湾、日本本土、ハワイなど)。 この1伝統文化・生態,2変化,3未来志向(地域振興),4比較地域論の4つの視点を踏まえ、海の資源と人との関わりの多様性について、見通しを述べる。

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© 2009 公益社団法人 日本地理学会
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