抄録
減災には、その地域の災害ポテンシャルを正確に認知しておく必要性がある。そのために、GISやリモートセンシング等の新技術を活用して、公開されている地理空間情報を使って地域の災害脆弱性を評価する手法、衛星画像により迅速に災害状況を把握する手法について検討した。
地形分類データ、地震の建物等被害線図を組み合わせてGIS解析を行った。その結果、地形分類と軟弱地盤の厚さが地震建物被害との関連性が高いことが定量的に明らかになった。中越沖地震の地震被害調査結果から、砂丘の縁や砂丘の砂がのる微高地で被害が顕著で、地形分類体系よりも細かい地形発達過程の違いが被害の大小に影響を与えていることが分かった。
地形分類データ、ハザードマップの想定被害域とDEMを組み合わせてGIS解析を行った。その結果、地形分類とハザードマップの想定災害域との対応が良いこと、50mDEMは大局的な地形分類と対応が良く、10mDEMは微地形を反映した地形単位が抽出可能であることが分かった。航空レーザによる5mDEMを活用すると、微地形と水害実績との対応が極めて良いことが認識できる。
衛星画像については、大規模な海外での災害事例を対象に、様々な分解能の光学衛星画像を用いて災害状況の判読を行い、その結果を災害判読カードに整理して各画像の災害判読特性をとりまとめた。また、夜間や荒天時にも計測可能な合成開口レーザについても、散乱強度画像の変化から洪水による冠水域の抽出が容易に可能である。