日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P1121
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発表要旨
亘理平野に分布する浜堤列の形成時期と「鳥の海」の成因に関する再検討
*藤本 展子松本 秀明
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抄録

 これまで仙台平野に分布する浜堤列の形成時期に関して,松本(1984),伊藤(2006)が研究を進めてきた。松本(1984)は仙台平野の浜堤列を陸側から第Ⅰ浜堤列,第Ⅰ'浜堤列,第Ⅱ浜堤列,第Ⅲ浜堤列に大別し,第Ⅰ浜堤列は5,000~4500年前,第Ⅰ'浜堤列は3,100~3,000年前・前後,第Ⅱ浜堤列は2,800~1,600年前,そして第Ⅲ浜堤列は1,000~700年前から現在にかけて形成されたとした。その後,伊藤(2006)は第Ⅲ浜堤列を内陸側から第Ⅲa,第Ⅲb,そして第Ⅲc浜堤列に細分し,それぞれの形成時期を約1,300~1,100 cal.BP,約1,100 cal.BP以降,そして約350 cal.BP以降とした。
 しかしながら,近年の筆者らの仙台平野南部,すなわちわたり平野における自然堤防形成時期等に関する調査で,従来第Ⅱ浜堤列として位置づけられてきた現海岸線から3.3km内陸に位置する柴~曽根付近の浜堤列の形成時期に矛盾が生じるなど,いくつかの問題点が見いだされた。本研究では,従来の結果を踏まえながらも,新たな地形断面の計測ならびに放射性炭素年代測定を行い,当平野における浜堤列の形成時期,すなわち各時代の海岸線の位置を再検討した。

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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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