抄録
我が国では降雨に起因する斜面崩壊が毎年発生し,斜面崩壊の発生と降雨量との関係を解析する研究が多く行われてきた.Saito et al. (2010, SOLA) では,斜面崩壊が発生した降雨イベントの平均雨量強度,降雨継続時間,土壌雨量指数(SWI,岡田ほか 2001,天気)を解析し,斜面崩壊を発生させる降雨イベントが短時間集中(SH)型と長時間継続(LL)型とに定量的に分類出来ることを示した.
そこで齋藤ほか(2011, GIS-理論と応用)ではSH型とLL型の降雨イベントの特徴に基づき,日本列島において斜面崩壊を発生させる降雨イベントのリアルタイムモニタリングシステム(プロトタイプ,SWING system)を構築した.
本研究では本システムを運用し,平成23年台風12号による紀伊半島での土砂災害のモニタリング結果を検証した.