日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 814
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発表要旨
洪水氾濫シミュレーションを用いた備中高松城水攻めに関する研究
*根元 裕樹中山 大地松山 洋
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抄録
1582(天正10)年旧暦5月、岡山県の備中高松にて備中高松城水攻めが行われた。このとき、羽柴(豊臣)秀吉は、基底幅21m、上幅10m、高さ7mの水攻め堤を3kmに渡って築き、備中高松城側の足守川を堰き止め、その水を引き入れることによって備中高松城を水攻めした。この水攻め堤は12日間で完成したと伝わるが、12日間で築くには大規模すぎると指摘されていた。近年の研究では、備中高松城の西側には自然堤防があり、それを活用したからこそ、12日間で水攻め堤を完成できたとされている。しかし、備中高松城水攻めを水文学に基づいて研究した事例はない。そこで本研究では、水攻めを洪水と考え、洪水氾濫シミュレーションをメインモデルとした水攻めモデルを開発し、備中高松城水攻めをシミュレーションした。その結果から水攻めの条件を考察した。  備中高松は、微地形の多い海抜10m以下の平野の側に海抜約300mの山地があるところに立地する。この土地条件を考慮し、山地の流出解析にkinematic wave modelを用い、洪水氾濫解析にdynamic wave modelを用いた水攻めモデルを開発した。さらに備中高松の微地形を反映させるために基盤地図情報の縮尺レベル2500標高点から高空間分解能のDEMを作成した。このDEMに現地の発掘調査の報告書や現地踏査で調べた盛り土の状況を参考に、過去を想定したDEMを作成した。DEMの種類、水攻め堤の有無と高さによって複数のシナリオを作成し、水攻めの状況をシミュレーションした。  その結果、備中高松城の西側にある自然堤防を利用した上で、水攻め堤の遺跡である蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤と足守川の流入が水攻めにとって必要であることが示された。この結果と史料を考慮しながら蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤の高さについて考察したところ、その高さは約3.0mが合理的であるという結論が得られた。
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