日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 224
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発表要旨
インドネシア・ムラピ火山の2010年噴火に伴う火砕流流下地域における植生の回復過程
*田村 賢哉海津 正倫
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抄録
 インドネシア・ムラピ火山(インドネシア語でGunung Merapi)は,過去200年間で約50回の噴火があり,最近は1~5年おきに噴火している.ムラピ火山の噴火は,成長する溶岩ドームが崩壊して発生した火砕流とラハール(Lahar:土石流・泥流)が,流下地域に著しい被害をもたらしてきた.最近では,2010年10月26日に大規模な噴火が発生し,11月まで大小の噴火が繰り返した.これらの噴火で火砕流が発生し,山頂から南東のゲンドル川(Kali.Gendol)に沿って流れ,火口から約16km,幅700mの火砕流が流下した範囲が裸地となった.この噴火は,死者約400人近くの犠牲者を出す大災害となった. 火山活動は周辺の環境に大きな影響を与え,一度噴火をおこせばその地域の生物の生息環境を大きく変える.とくに,火砕流は高温のガスや流下物によって地表の植生を著しく破壊する.その後,火砕流被害を受けた地表面は回復へとむかうが,初期の回復過程は地形が極めて不安定であり,ラハールなどによって土壌流出が増加する.そのため,植生の初期回復過程における地形の把握が重要であり,本報告では火砕流やラハールによって覆われた地域の地形特徴と植生定着にもとづく植生回復について検討する.
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© 2013 公益社団法人 日本地理学会
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