日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P064
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発表要旨
キルギス東部の水環境に関する予察的研究
-シルダリヤ上流域・イシククル湖を中心に-
*齋藤 圭小寺 浩二
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抄録

大陸における水環境は地球環境システムの解明にとって極めて重要である。中でも、ユーラシア大陸はその大きさから地球環境に及ぼす影響が大きい。中央アジアはユーラシア大陸の中央部に位置し、大陸の水環境の根幹を担っている。中央アジアの中でも、キルギスは大河川の水源を有す一方、灌漑による塩害、農薬、工場・観光地からの排水による汚染が懸念されている。法政大学では、古くから中央アジアでの研究がなされており、対象地域はタクラマカン砂漠・チベット・アラル海など多岐に渡るものの、キルギスにおける研究は数が少なく、まだまだ不十分だと言える。本研究では、キルギス東部にて河川や湖を中心に水を採水し、水質分析を行った。河川は全体的にCa-HCO₃型で浅層地下水タイプの水質だった。一方、内陸湖であるイシククル湖はNa-Cl型に近いイオン構造だった。これは、乾燥による水の蒸発によって濃縮されたものだと言える。しかし、イシククル湖とその流入河川とでは主要溶存成分の構造が違うことが疑問に残る。そこで、今後は河川の他に地下水や温泉水を中心に分析を行い、イシククル湖周辺の水環境の解明を行っていく。

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© 2013 公益社団法人 日本地理学会
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