日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 733
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発表要旨
UAVリモートセンシングによる水稲モニタリング手法の適用性に関する研究
*濱 侃田中 圭望月 篤鶴岡 康夫平田 俊之新井 弘幸八幡 竜也近藤 昭彦
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抄録

UAVリモートセンシングによる農作物観測は,精密農業に基づく環境負荷の軽減,作物の収量と質の向上に関わる重要な課題である。リモートセンシング技術を用いた水稲の生育,収量推定に関する研究において,バイオマスやLeaf Area Index (LAI),群落クロロフィル量の推定モデルでは他年次,他地域へ同一の推定モデルが適用可能と報告されている。しかし,収量推定においては,推定精度は対象地域に依存し,モデルの適用性に課題がある。 そこで,本研究では,適用性の高い収量推定モデルの導出を目的とし,UAVリモートセンシングによる水稲モニタリングを他年次(2014~2016年),他地域(3地域)で行った。これらの観測結果に基づき,草丈推定モデル,収量推定モデルの導出,検証を行った結果を報告する。
本研究の結論は,以下の通りである。(1)草丈推定においては,NDVIpv,GNDVIを説明変数に使用した草丈推定モデルの推定精度が高く,他年次,他地域にも適用可能であった。(2)収量推定モデルを,他年次,他地域に適用した結果,PARを用いた推定モデルのRMSEは46.5g/m²,全天日射量を用いた推定モデルのRMSEは23.1g/m²となった。全天日射量を用いたモデルの推定精度はPARを用いた推定モデルよりも高かった。
本研究で導出された推定モデルは,水稲の生育ステージに合わせて,特定の時期の植生指数と日射量のみを使用したシンプルなモデルである。加えて,植生指数は,反射率変換を行わずに算出したものだが,他年次,他地域で適用することができた。これは,今後の実利用を考えた時,簡易な手法で運用することが可能で,迅速かつある程度の精度を確保できる点で優位性がある。

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© 2017 公益社団法人 日本地理学会
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