日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P027
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発表要旨
ヒマラヤ東部地域におけるデブリ氷河の氷河上湖の季節変動
*杵淵 千香子奈良間 千之山之口 勤田殿 武雄
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抄録

ヒマラヤ東部地域(ネパール東部・ブータン)に現存する巨大な氷河湖は,1950~1960年頃に出現した氷河上湖が連結して拡大したものである(Ageta et al., 2000).一方,2009年のチョゾ氷河では巨大な氷河湖を持たないにもかかわらず,氷河上湖を供給源とする大規模出水が生じ,プナカの住人の混乱を招いた(Komori et al., 2012).氷河上湖は,連結して巨大な氷河湖に発達するものや,季節変動して(Watson et al.,2015),チョゾ氷河のように大規模出水を引き起こすものもある.ヒマラヤ地域の将来的な氷河湖拡大や大規模出水は氷河上湖の振る舞いがカギを握っているのだが,その発達プロセスや季節サイクルはまだよくわかっていない.その理由の1つとして,夏季のインドモンスーンの発達で覆われた雲により,夏季の氷河上湖の変動が衛星画像で捉えられないという問題が挙げられる.そこで,本研究では,雲を透過して地上の湖面データを取得できるマイクロ波のALOS-2/PALSAR-2のオルソ画像とLandsat8/OLIのパンシャープン画像を組み合せ,2015年の1年間のヒマラヤ東部地域のデブリ氷河の氷河上湖の季節変動を明らかにした.

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© 2017 公益社団法人 日本地理学会
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