抄録
伊能忠敬の測量法は、測線の長さと方位を次々に測る導線測量と、恒星の子午線通過高度を測定する星測(緯度測量)である.これらの測量値は野帳に文字として記入され、夜間に図化された.導線測量は天文測量に対して、細部測量という位置づけである.
測線の距離は縮尺に応じて地図上の長さとなり、三角関数表を用いて、方位角から東西成分と南北成分に分解された.各成分は次々に加算され、導線の折れ曲がり点(測点)の位置(xy座標値)が決定された.
地上の導線測量による南北成分の和と天文測量(緯度)による緯度に不一致がある場合は緯度を優先させた(別稿の課題).
同縮尺の地図を接合する寄図、寄図しながら小縮尺の地図を編集する縮小寄図についても考察した.