抄録
衛星画像を用いた植生領域の検出には一般的に正規化植生指数(NDVI:Normalized Difference Vegetation Index)が用いられる. NDVIでは高い精度での検出が可能であるが高解像度の衛星画像の場合, 青色の建物や影領域などが原因で誤検出や未検出が幾つか見られるという問題があった.
本研究では高解像度の特に都市部で見られる誤検出・未検出を解決するため, 都市部に適した都市植生指数(UAVI:Urban Area Vegetation Index)を提案した.
誤検出・未検出となる箇所について調査をし原因を特定, NDVIを元に可視光域RGBや近赤外域NIR, 輝度Yなどを用いて原因を排除出来ないか調べた. 調査の結果を元に, 可視光域の波長Bや輝度Yを用いてNDVIを改良することで提案指数UAVIが提案された.
実験として提案指数とNDVIを用いて植生検出を行い, 正解画像との比較から精度評価を行った. 結果, NDVIの検出率が88.2%,誤検出率が9.1%,未検出率が11.7%なのに対し, 提案指数はそれぞれ90.3%, 8%, 9.7%と改善が見られた.
まとめとして, 提案指数は高解像度衛星画像において高い精度の植生検出をすることが出来た. 今後の課題として, 植生領域と同じRGB, NIRを持つ屋根への対策があげられる. ピクセルベースでは対策は厳しいため, 領域ベースでの考え方を取り入れる必要があるだろう.