1995 年 41 巻 1 号 p. 1-16
日本図書館協会図書館員の問題調査研究委員会は, 1974年に「図書館員の専門性とは何か(最終報告)」という報告書を発表した。この報告書は,同委員会による数年間にわたる検討の結果をまとめたもので,同協会のこの問題に関する唯一の文書であり,しばしば関係文献で言及されている。本論文の目的は,文献をもとにこの報告書の問題点を検討することである。
検討の結果,この報告書について次のことが明らかになった。
(1)専門職の要件全体を検討することなく,要件の一部だけを検討している。
(2)専門性については抽象的な規定を示すにとどまっている。
(3)専門職の養成と専門職制度の検討を他組織に委ね,検討していない。
(4)専門職の要件の優先順位を理解せず,倫理綱領の制定を優先している。