昭和病院雑誌
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夢に向かって
就学前支援における作業療法士としての関わり
松枝 亜希岩田 保美福田 育美橋口 英志
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2007 年 3 巻 2 号 p. 136-140

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抄録

脳性麻痺の中尾Jちゃんの「夢」は「自立」。Jちゃんは早期産(26週)で超低出生体重児(体重720g)で出生、新生児特定集中治療室(NICU: neonatal intensive care unit)で治療を受けた。7ヶ月から硬い足関節のリハビリを開始。3歳3ヶ月の時、歩行能力の改善のための整形外科的手術を受けた。4歳頃より小児用歩行器で歩けたが、両膝の屈曲拘縮と尖足で、歩行能力は改善しなかった。保育園での毎日生活の中に、昭和病院外来リハビリテーションでの作業療法を組み込んだ。I. 作業療法の目標は、(1)環境への適応、a:屋内の一人歩き、b:杖歩行でドアの開け閉め、c:椅子に座る等。また、(2)就学前準備、文字学習としての線引き、書き写しを行い集中力を培った。 II. 保育園では、a:戸外遊び(膝歩きなので、シートを敷き、みんなと戸外で遊べるようにした。)b:公園までの散歩(おんぶ紐を使いみんなと一緒に行った、膝への負担はサポーターで軽減した)、c:食事(咀嚼不全の為、喉に詰まり易い食物はキザミ食とし、遅食は、量を減じて皆と同じ時間で食べれるようにした)d:運動遊び(踊りは立って出来るように支え、かけっこは一緒に手をつないで走った。)e:自分で出来る事は見守り、必要な時に援助をした。統合保育により、周りの子供は椅子やカバン等を運んであげるようになり、運動遊びの時には応援するといった思いやりや優しさや助け合いの集団として成長した。

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© 2007 医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
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