Annals of Mixed Methods Research
Online ISSN : 2436-8407
Original Article
Exploring the learning needs of mixed methods research skill levels based on self-assessment
Using the Guetterman scale
Yoko Kawamura Hisako Kakai
Author information
JOURNAL OPEN ACCESS FULL-TEXT HTML

2024 Volume 3 Issue 1 Pages 271-291

Details
要旨

目的:本研究は看護学研究者を対象に、混合研究法の実践に関連する説明力や適応力の自己評価(認識)の観点から、学修ニーズに関して多角的な知見を得ることを目的とした。

方法:本研究は、収斂デザインによる混合型研究である。量的データ分析としてGuetterman尺度を用いて特定した、混合研究法スキルの自己評価に基づく3群(高・中・低群)の属性的な特徴を確認した。次に、フォーカス・グループ・インタビュー(FG I)の逐語録を通読し、意味に沿ってその内容をコーディングすることで、質的データ分析を行った。そして、このコーディング結果に量的データ変換を行い、これにより3群間の傾向の違いを確認した。最後に、量的・質的データを統合し、メタ推論を導出することによって、混合研究法スキルの自己評価3群別の学修ニーズを明らかにした。

結果・結論:混合研究法の自己評価の高・中・低群の学修ニーズが、本人の研究全般に関わる特性と時々の混合研究法受容に関する時代的変化に基づく学修環境の違いと相まって異なることが浮き彫りになった。

Abstract

OBJECTIVE: This study aimed to obtain multifaceted insights into the learning needs of nursing researchers from the perspective of their self-assessment (perception) of explanatory and adaptive skills related to the practice of mixed methods research (MMR).

METHODS: This study was a convergent design MMR. Attributional characteristics of three groups (high, medium, and low) based on self-assessment of MMR skills were identified using the Guetterman scale as quantitative data analysis. Next, qualitative data analysis was conducted by reading the verbatim transcripts of the focus group interviews (FGI) and coding their content according to meaning. Then, quantitative data transformations were performed on these coding results, which allowed us to identify differences in trends among the three groups. Finally, the results of quantitative and qualitative data analysis were integrated, and meta-inferences were derived to identify learning needs by the three self-assessment groups for MMR skills.

RESULTS AND CONCLUSIONS: We highlighted that the learning needs of the high, medium, and low groups differed based on their overall research skills, coupled with differences in learning environments based on their overall research characteristics and the temporal changes in acceptance of MMR from time to time.

1.背景

1. 1ヘルスサイエンスにおける混合研究法の広がり

混合研究法が欧米の研究者の間で”the third methodological movement”(「第三の方法論運動」)(Teddlie & Tashakkori, 2003)と称され誕生してから30年ほどが経つ。そして、近年混合研究法はその存在感を様々な専門領域においてグローバルに高めている。特に米国では、ヘルスサイエンスの分野において混合研究法の利用への関心が顕著に高まっている。その背景に、2000年以降、アメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health: NIH)がヘルスサイエンス研究における混合研究法の利用を広く推奨してきたことがある(Creswell & Plano Clark, 2007/2010)。これに伴いさまざまな環境整備がなされ、2011年には混合研究法を用いてNIHの助成金を申請する研究者と査読者のために、『健康科学における混合研究法のベストプラクティス』(Creswell et al., 2011)が刊行された。これは混合研究法の実践方法を具体的に示すものであった。また、このようなガイドの出版のみならず、専門家によるトレーニングプログラム(The Mixed Methods Research Training Program : MMRTP)も開発・実施され、その評価研究も行われている(Guetterman et al., 2018, 2019)。さらに、2015年以降、ミシガン大学附属混合研究法プログラムも、ヘルスサイエンス研究者のみならず、教育学をはじめとする他領域の研究者に対して混合研究法を実践的に学ぶ機会を提供している。

一方、日本において混合研究法の認知度が急速に高まり始めたのは、2010年代以降であると推察される。文部科学省および日本学術振興会が交付する科学研究費助成を受けた混合研究法プロジェクトの数の変化の様子を見てみると、「ミックスド・メソッド」「ミックスメソッド」「混合研究法」の3つのキーワードを用いてKAKENデータベース(https://kaken.nii.ac.jp/ja/index/)の課題検索を実施すると、2000年以降混合研究法の研究課題が徐々に現れはじめ、一桁台であった研究課題数が2010年代には二桁台になり、その後は年を追うごとに増加していることがわかる。そして、2020年にはこれまででもっとも多い47件の課題が採択されている。2021年になると新型コロナウイルス感染症のパンデミックが原因とみられる採択課題件数の減少がみられたものの、2022年にはその数は前年の19件から24件まで回復し、この時点で過去20年ほどの混合研究法を用いた実証研究(以下、混合型研究)の延べ採択課題件数は351件に達したことが確認できる(Kakai, 2023)。

混合研究法に関する日本語の雑誌記事(例えば、後藤, 2013; 抱井, 2014, 2015a, 2015b, 2015c, 2015d, 2015e; 中村, 2013; 大谷, 2013; 髙木, 2013)、邦訳本(例えば、Creswell, 2003/2007; Creswell, 2015/2017; Creswell & Plano Clark, 2007/2010; Teddlie & Tashakkori, 2009/2017 )、そして日本語による混合研究法オリジナル書籍 (抱井, 2015f; 抱井・成田, 2016;フェターズ・抱井, 2021)の出版を背景に、日本国内での混合研究法の普及が2010年代以降急速に進み、混合研究法という新たな研究アプローチに対する認識や理解が分野を越えて一気に高まったと考えられる。また、2015年9月には日本初の混合研究法専門学会として日本混合研究法学会(Japan Society for Mixed Methods Research: JSMMR)が設立され、わが国初となる混合研究法専門学術大会が国際混合研究法学会(Mixed Methods International Research Association: MMIRA)と合同で開催された。

混合研究法に対する関心は、実践における現象の理解や改善などを目的に調査を行う多様な分野の研究者の間で高いが、米国同様日本において、特に看護学、医学、公衆衛生学などのヘルスサイエンス分野で有用性を認める研究者が多い(抱井・阿部, 2023)。上述したJSMMRの会員の半数以上がヘルスサイエンスに含まれる分野の研究者や実践家である点は証左の一つである(抱井, 2022)。疾病そのものの治療に焦点を当てる生物医学モデルから,疾病をもつ個人が抱える社会心理的要因を含めた人間全体に焦点を当てる生物心理社会モデル(Engel, 1977)への移行を鑑みると、質的・量的アプローチの統合によって全体を捉えることを可能にする混合研究法は、ヘルスサイエンス研究との親和性が高い。中でも患者の心と身体をケアする看護実践においてはホーリスティックなアプローチが不可欠となり (Henderson, 1997/2016)、看護学研究者の間で混合研究法の有用性が広く認識されている。前述したJSMMRのヘルスサイエンス系の会員の中で、もっとも多いのが看護学研究者であることは偶然ではない。このことは、筆者らが実施した日本全国の看護学研究者を対象とする混合研究法の認知度・活用状況および研究実施上の課題に関するオンラインアンケート調査(抱井他, 2022)でも示されており、混合研究法を知らないと回答した研究参加者は1割未満であった。加えて、参加者の5割強が混合研究法を利用した経験があると報告した。

看護学研究者の間で混合研究法への認知度や活用頻度が高まる一方で、上述した調査において自身の混合研究法スキルについて満足していると回答した参加者は全体の2%に過ぎなかった(抱井他, 2022)。このことから、多くの看護学研究者が混合研究法を利用したいという高いモチベーションと、実際に混合研究法を用いて研究を遂行する自身のスキルの認識の間に大きなギャップを抱えていることが示唆される。混合研究法の利用に関わる看護学研究者の学修ニーズを明らかにすることで、このような彼(女)らの認識のギャップを埋め自信をもって混合型研究を遂行していくためにどのような支援が有効かを特定することができる。

1. 2. 混合型研究に必要な能力・スキル・その他の要素

先行研究によって、混合型研究を成功裏に実施するために求められる要素は何かについて検討されてきた。Bazeley(2003)は概念的論考によって、教育によって向上させることのできる具体的なテクニック(デザイン、分析、報告書の執筆、データ統合のためのソフトウェアの使用にかかわるスキルなど)と、学修者自身が自ら身につけていくべき柔軟性や適用能力、革新的な方法の適用を可能にする方法論に対する深い知識の両方が混合型研究の実施には求められると指摘している。

一方、Guetterman et al.(2017)は、質的インタビュー、授業シラバス、カリキュラム資料、ワークショップ資料などの複数のデータを用いた質的研究により、混合研究法の初学者とエキスパートの分水嶺を明らかにする類型の開発を試みている。その結果はBazeley(2003)の主張と軌を一にし、混合研究法の熟達には、研究者が備えているべき個人特性に加え、専門的経験、知識、スキルを段階的に習得することが不可欠となることを報告している。これは、Onwuegbuzie et al.,(2013)が提唱する混合研究法学修の4段階モデル(研究目的の決定・リサーチクエスチョンの策定段階、研究の計画段階、研究の実施段階、研究発表の段階)の妥当性を実証する結果であると言える。

Guetterman et al.(2017)の研究成果は学修の軌跡を通じて個人の混合研究法習熟レベルを特定する方法を提供するものであり、自己評価式混合研究法スキル評価尺度(the self-rated mixed methods skills assessment instrument: 以下、Guetterman尺度)の開発につながった。この尺度により、メンターは回答者の混合研究法習熟レベルを特定し、学修者の混合研究法の状況によって必要なサポートを特定することができる。つまり、Guetterman尺度は、学修者が混合研究法のスキルを身につけるための道筋を提供するものである(Guetterman, 2017)。

2. 目的

現在、日本混合研究法学会の理事を中心とした研究プロジェクトチーム(以下、研究班)は、看護学研究者が有する混合研究法の学修ニーズに応えるための混合研究法eラーニングの開発に取り組んでいる。その一環として、看護学研究者の混合研究法に関する多様な現状とニーズを捉えるために、オンラインアンケート調査とフォーカス・グループ・インタビュー(FGI)を実施した。そして、プロジェクト2年目にあたる2021年度の日本混合研究法学会年次大会において、混合研究法の学修や実践の経験の違いによって混合研究法を学び進める上でのハードルの認識や学修ニーズが異なることを明らかにした(八田他, 2021)。

本研究は、先行研究の知見に加えてさらにハードルの認識や学修ニーズに関する理解を深めることを目指した。具体的には、八田他(2021)の先行研究では同データセットを用いて回答者の経験に基づく習熟度の分類によって学修ニーズを探索したが、本研究においては混合研究法の実践に関連する説明能力や適用能力の自己評価(認識)という異なる観点から学修ニーズに関する知見を得ることを目的とした。

混合研究法の教育・学修に関する先行研究はそのほとんどが欧米の社会文化的コンテキストで執筆されたものであり、日本の研究者を対象とするものは管見の限りない。本研究を通して日本の社会文化的コンテキストに特徴的な傾向や課題の有無(Creswell & Sinley, 2017)を探るとともに、わが国の看護学研究者を支援する混合研究法eラーニングシステムの開発に、本研究により得られた知見を生かす。

3. 方法

本研究は、収斂デザインによる混合型研究である。図1に手続きダイアグラムを示した。

図1:本研究の手続きダイアグラム

3.1. Guetterman尺度による量的データ収集・分析の手続き

看護分野の研究者を対象に2020年10月20日〜12月3日の間に実施したオンラインアンケートのデータ(抱井他, 2022)を用いた。データ収集手続きの詳細については抱井他(2022)の論文に委ねるが、1)看護系大学288校への書面郵送、2)2020年日本混合研究法学会年次大会参加者へのオンライン大会内での呼びかけ、3)過去セミナー参加者へのメール送付によって依頼し得られた便宜的サンプルである。

アンケートの内容は第I部と第II部に分かれ、第I部では回答者の属性、専門領域、研究法に関する専門性・学修歴・教育歴、混合研究法に関する認識・経験、および学修資材に関する要望などについて尋ねている。アンケートの第II部には、混合研究法に関するスキルを測ることを目的として開発されたGuetterman尺度(Guetterman et al., 2017)が含まれる。この尺度は、混合研究法に関するリサーチクエスチョン/哲学(3項目)、デザイン/アプローチ(10項目)、サンプリング(2項目)、データ収集(2項目)、分析(3項目)、結果の公表(2項目)の観点から自身の(1)説明能力、(2)実践適用能力、(3)学修意欲を評価するものである。このうち、本研究では説明能力と実践適用能力(以下、適用能力)に着目した。これらの合計点を算出して用いた。回答者は、自分の能力を尋ねる各質問項目に対して「1.全くない」「2.ない」「3.どちらともいえない」「4.ある」「5.大いにある」の中から選択した。2つの能力の平均点によって、相互に独立するように、高、中、低の3群に分けた。

これら3群間について、回答者の研究活動に関する属性(所属機関での職位、教育経験年数など)の他、研究アプローチの傾向、混合研究法のスキルに対する満足度の高中低群間の違いをχ二乗検定または分散分析を用いて分析した(α=0.05)。量的データの分析には統計ソフトEZRを用いた。

3.2. フォーカス・グループインタビュー(FGI)による質的データ収集・分析の手続き

オンラインアンケート調査の参加者の中から、FGIへの協力を「可」とした者に対し、2021年1月18日〜2021年2月7日の間にFGI(一部は参加者の都合により個別インタビュー)を実施した。

FGIは、3部で構成した質問による半構造化形式で実施した。まず、第一部では混合型研究を進める過程において直面した課題について、自身の研究や、教員としての立場から学生を指導する上で直面した経験に基づき参加者に自由に語ってもらった。さらに、直面した問題の解決の可否や、解決に至った場合は解決方法についても尋ねた。次に第2部では混合研究法を用いた研究活動における成功体験や混合研究法に対する期待や展望などを、第3部ではe-learning教材開発への要望を尋ねた。参加人数は合計31名で、FGIは各回3〜4名から成る8グループで実施した。FGIの日程に参加できなかった3名に対しては、個別インタビューを実施した。FGIの各グループは、「混合型研究の実施経験の有無」と「現在のステータス」(教員か大学院生か)を基準に、できるだけバックグラウンドの類似性が高くなるように構成した。しかしながら、教員でありながら博士後期課程に所属し自身の博士論文研究を実施しているという立場の参加者がFGIにおいて8名いたため、結果的に「現在のステータス」については8グループ中5グループにおいて混在していた。

質的データの分析については、まずFGIの逐語録を通読し、その上で語りの意味に従ってデータをコーディングした。コーディングは全体を通して筆頭著者(YK)が単独で行い、さらにコードをカテゴリとして分類した。第2著者(HK)がYKによるコーディングの結果をよりメタな視点から確認・評価した(Mayring, 2014)。FGIでの発言の内容以外に、量的データの分析結果に基づいて、発言者の逐語録の内容にコーディングした。例えば、A氏がGueterman尺度の点数に基づく分類によって中群に属するとしたら、A氏の発言の箇所を「中群」としてコーディングした。データの整理及び分析には、MAXQDAを用いた。

3.3. 統合の手続き

カテゴリをFGI参加者の3群に分けて集計し、データ変換によって統合した。本研究は、包含する全体プロジェクトの下ですでに実施された先行研究(八田他, 2021)とは異なる切り口により同一のデータを分析することで、現象に対する理解を拡張することを狙ったものである。全体プロジェクトでは、現象を複眼的に捉えるために研究デザインを収斂型とし、アンケートの実施後できるだけ時間をあけずに研究参加者からFGIを通して多様な声も収集している。これらの理由から、当初よりGuetterman尺度によるFGIの参加者のサンプリングは想定していない。したがって、本研究において教員と学生の高中低群の立場の分布は均一ではない。

3群間にある参加者数の分布をならすために、高中低群間のコード数の集計結果を重み付けした。そして、重み付けした集計数によってカイ二乗分析を行い、群間の違いを検証した。有意差(α=0.05)を基準として各群の特徴的なコードを抽出、整理した。

量的データ分析及び、質的データの変換による統合の結果として得られた高中低群別集計表2つの表について、著者2名で各群の混合研究法に関する学修ニーズの違いが明らかになるように統合しメタ推論を導いた。

4. 結果

4.1. 量的データ

オンラインアンケートには322名が参加したが、本研究では第II部のGuetterman尺度の項目まで回答した113名のデータを分析に使用した。

4.1.1. Guetterman尺度による3群分類

113名のGuetterman尺度の説明能力及び適用能力の点数に基づいて研究参加者を3群に分けたところ、高群34名、中群30名、低群49名となった。表1表2に説明能力と適用能力について、6下位項目の平均点を示した。なお点数は平均点となるので総合点は5から30点、各下位項目は1から5点の範囲となる。

適用能力は説明能力と比較して平均値が低かった。全ての点数について、3群の等分散性を確認したのち、分散分析によって平均値の群間比較を行ったところ、全ての項目で統計的な有意差が確認できた(p<0.001)。説明能力では「リサーチクエスチョン/哲学」「サンプリング」、適用能力では「リサーチクエスチョン/哲学」のみが群間の等分性があることが確認でき、Tukey法によって多重比較検定を行ったところ、3群の点数が相互に有意に異なる結果となった(p<0.001)。

表1:Guetterman 尺度の説明能力平均点


表2:Guetterman 尺度の適用能力平均点


4.1.2. Guetterman尺度による3群の特徴

基本属性の集計結果を表3にまとめた。群間の分布の差が見られたのは、大学院生の所属課程、学位取得を目的とした留学経験、年齢、修士号取得時期、博士号取得分野と取得時期、混合研究法の認知であった。高群には博士前期課程の回答者は含まれず後期課程2名(5.9%)のみで9割超(32名、94.1%)が大学院生ではないという結果であった。学位取得を目的とした留学経験者は全体で7名(6.2%)と非常に少なかったが、5名が高群に含まれた。年齢については、高群には40代(14名、41.2%)と50代(11名、32.4%)が多く、他の2群と比較して年齢が高めの傾向が見られた。学位取得時期については、全体で前期課程(修士)及び博士(後期)とも2000年代以降がそれぞれ82名(72.6%)、50名(44.2%)と多くを占めているが、年齢の結果を反映するように、高群では修士号取得時期が1990年代の回答の割合が他2群と比較して高かった(7名、20.6%)。博士号取得分野について、全体で看護学(47名、41.6%)と保健学(16名、14.2%)で6割を超える結果であった。高群では医科学・医学の回答割合が12%程度(4名)であり、看護学も約56%(19名)と他の群と比較して高かった。

表4に、教育や研究に関する経験年数の回答の平均値をまとめた。群間の平均値の差を検証するため、分散分析を行った結果、有意差が見られたのは、参加した混合研究法に関するセミナー数と(関わった混合研究法の)プロジェクト数であった。セミナー数は高群が多く、プロジェクト数は中群が多かった。

表3: 基本属性の回答分布


表4:教育研究の経験年数


4.2. 質的データ

4.2.1. FGI参加者

FGIに参加した31名(内3名は参加者の都合により個別インタビューを実施)の中から、Guetterman尺度の項目に回答した21名を特定した。その21名が参加した8つのFGIの逐語録を分析対象とした。分析の対象となった21名の基本属性の分布を表5にまとめた。高群が7名、中群4名、低群10名であり、全体と比較して、中群が少なかった。所属組織では私立大学、専門分野では成人看護学、職位で講師と准教授が全体の分布と比較して多かった。

表5:分析対象FGI参加者の基本属性の分布


4.2.2. FGI逐語録の質的分析結果

コーディングによって、参加者の所属群を特定するコードを除き、コード間の関係性を確認した結果、55コード、34サブコードに整理できた。(表6

カテゴリ【MMRの認識】は、<面白い><研究の精度を上げる><自分の研究に適切><適切な研究アプローチを選ぶことを可能にする><具体性が掴めていない>という5コードを含む。コード<自分の研究に適切>に包含される6サブカテゴリ<<看護分野の親和性>><<質的データでヒューマニズム>><<実用性が高い>><<小さいサンプルのデータを補強>><<説得力を増す>><<他分野にも伝えやすい>>は、具体的な理由の内容である。このカテゴリは、研究実践における有用性に関するポジティブな側面が強いが、実際に研究を進めていくときの具体的かつ詳細がわからないというネガティブな側面も含む。

【学修に対する認識】カテゴリについては、<学びのステップが必要><探求の動機付けが必要><たどり着ける状態の明確化が必要><敷居の低さ><方法について体系化しすぎない学び>という5コード含まれ、学び始めるには「とっつきやすさ」と混合型研究の実践に必要な知識やスキルを身につけることによる有用性を認識するなどの動機付けが必要であるという、混合研究法の学びに対する認識が見えてきた。さらに、段階的な学びが必要であることと、それに反するような体系化しすぎない学びが必要との意見もあり、混合研究法の学びに関して、FGI参加者の個々の経験を反映する多様なニーズを示唆するものである。

次に、カテゴリ【実践における認識】には、チームで混合型研究に取り組むことに対して<チームで取り組みたい>が、<チームでも難しい>というコードが含まれた。特に、チームで取り組むことが難しいと感じる理由となるサブコードには、<<(チームメンバー皆に)ある程度質・量双方の知識が必要>><<チームで取り組む土壌がない>><<メンバー全員の混合研究法の理解が必要(であるが実際はそうではない)>><<信頼関係が必要>><<仲間が見つからない>><<(チームで行う場合)統合が難しい>>が整理できた。さらに実践に関して、<両方の方法を一つの研究で行うので膨大、大変>というコードが含まれ、実践面での困難さを強調する概念が抽出できた。一方、<認識していないが、経験がある>というコードは、「混合型研究を実践していると思わなかったが、後で振り返ってみるとそうであった」という内容であり、混合研究法と看護学研究分野の親和性を確認することができる。

カテゴリ【学修における難しさ】には、最も多い20コードが含まれた。まず、<お手本の研究・研究者が(い)ない><指導者がいない><相談相手がいない>といういわゆるメンター的な要素の不在がある。さらに、<周囲の理解不足>は、<<どうして統合するのか>>という声を受けたり、<<今更感>>を指摘される、さらに<<科研費申請>><<倫理委員会の手続き>>の過程で感じる困難などから概して<<理解者がいない>>と感じている様子に加えて、<<投稿できるジャーナルがない>>というような理由をもって感じられている様子であった。一方、<<学ぶ仲間や環境が整っている>><<倫理委員会の手続き>>でも混合研究法が受け入れられているなど、<周囲の理解はある>という声もあった。

研究者本人の要素としても、<一方(質または量)への苦手意識>(サブコード<<質的手法への苦手意識>><<量的手法への苦手意識>>)、<研究実施の自信がない>、<経験不足>や<知識・技術不足>を感じている様子がわかる。また、<学び始めて難しさを知る>ことも<MMRの多様性>や<学ぶことが多い(軸足+)>と同時に認識されていた。さらに、<言語の壁>も難しさと関連しているようであった。

<リサーチクエスチョン・目的の明確化><(一般的な)研究デザインの理解><統合><論文執筆>という混合型研究の具体的な過程に関して、また<(研究の)質の担保>について難しさが認識されていた。研究デザインに関しては、<(現在進めている)自分の研究のデザイン>について感じている難しさが語られた。さらに、混合研究法には<センスが必要>であることも難しさの認識となっていた。

【学修の経緯】カテゴリには、まず<学ぶきっかけ>(サブコード<<講演会>><<他者からの紹介>><<大学院進学>>)についての語りの内容が含まれる。さらに、これまでの学びの経験として、<書籍を読んだ><講義を受けた><学会に入会した><勉強会に参加した><研究を実施した><学会発表した>という内容のコードが含まれる。学びに関して、<基礎的な学びなし>であったり、<学ぶ必要がなかった>というような、学びの経験がないという語りもあるが、<独学で乗り切った>という声もあった。

最後に、【学修の資材に対する要望】カテゴリには、具体的な方法、手段、形式、ツールなどとして、<e-learning><Q&A機能><オンデマンド型><テスト><メンタリング><ライブ講義型><参考書><論文や事例><論文書き方ガイド>の声があった。<Q&A機能>には、<<オンタイム掲示板>>であったり、<<記述型>>であると良い、というような意見があった。<メンタリング>に関して、<<気軽に相談できる>><<具体的な細かいことを相談できる>><<研究デザインに関して相談(し)・アドバイス(を受けることができる)>><<MMRの研究の特徴をおさえるためのアドバイス(を受けることができる)>><<統合の段階の相談(ができる)>>など、内容に関する要望のほか、進め方として<<実際に進めてみる>><<仲間同士で学び合う>>形式が良いという意見があった。他に、具体的な方法、手段、形式、ツールの特徴として、<レベルに合わせた>ものであること、<課題ベース>であることなどの意見があった。

表6:コーディング結果


4.3.データ変換による統合:Guetterman尺度による3群ごとのコードの出現数の比較

質的データ分析結果のコードの出現数について高中低群別に集計し、データ変換によって統合した。中群が少なく分布の偏りがあるため、重み付けをして集計値を調整した。重み付けを施した後の集計値について、カイ二乗分析またはFisher正確検定の結果のなかで、分布の有意な偏りを示したコードとサブコードのみを残したものが表7である。

表7:Guetterman尺度に基づく群別コード集計結果


5. 考察

5.1. 量的データ分析の結果のまとめ

表8に量的データ分析による結果をまとめた。ここでは主要な結果について述べる。まず、参加者の混合研究法の能力に対する自己評価は全体的に低かった。また、混合研究法の「説明能力」は「適用能力」に比べ高かったものの、両者には高い正の相関(r=0.952, p<0.001)があった。データ分析の結果を示していないが、混合研究法の経験年数は年齢に応じて増える傾向があり、混合研究法の能力に対する自己評価も混合研究法の経験によって高まることが確認できた。

また、群間の比較によって、中群の学修環境が3群の中で最も整っていることが示唆された。中群については、経験したプロジェクト数とメンターの人数において、どの群よりも高いという特徴が見られたからである。中群は准教授レベルの者が多く、学術のキャリアにおいて、実証研究の経験をより多く積むタイミングと、新たな研究アプローチとして混合研究法が紹介されるタイミングが一致したことが、この背景にあると考えられる。一方、低群は大学院生が多いという特徴からか、混合研究法の経験の機会もメンターの人数ももっとも少ないという状況にあり、これがこのグループの混合研究法の能力についての自己評価の低さに寄与していると思われる。最後に、自身の混合研究法に関するスキルの満足度は全体的に低いものの、高群においては他の群に比べ、満足度がやや高めであることがわかった。

表8: 量的データ分析結果のまとめ


5.2. データ変換による統合結果のまとめ

表9に質的データ変換の統合による分析の結果をまとめた。結果から各群の特徴を考察してみたい。

まず、高群に関しては、混合研究法の学びや取り組みのなかでの面白みを感じており、「研究の精度を上げる」という混合研究法の利点を認識している様子から、スキルや知識を高めることによって得ることのできる利点を実感している様子がみられる。また、「知識・技術不足」について強く認識している様子から、目標が高く、学べば学ぶほど足りないことを自覚する状態にあることも推察できる。学会に入会したり、セミナーに参加するなど、学びのモチベーションも高い様子である。我が国における混合研究法の普及進展の初期にあった高群の学びの経験における「独学で乗り切る」はこの群の開拓者的傾向(Hesse-Biber, 2015)を示すものである。一方、大学院入学が混合研究法との出会いであることや、「講義を受けた」経験の語りも多く、ある程度体系的な学びを積み上げてきていることが推察される。

高群には教授職が占める割合と平均年齢が3群の中でもっとも高く、混合研究法に対しても積極的に学んできているといえる。このような層が日本の看護学研究において混合研究法の普及の旗振り役となってきた(抱井他, 2022)。高群は、自身の経験において「メンター(特に指導者)がいない」と感じているものの、自身の学びのみならず、後進を育てる立場からも、混合研究法の学修サポートを拡充する必要性を認識している様子が伺える。また、混合研究法に対する「周囲の理解不足」についてはいまだに観られる周囲の混合研究法に対する理解不足の現状(Tashakkori et al., 2020)について、「どうして統合するのか」という問いを突きつけられることもあることからも垣間見られ、この状況を打開するための理解拡充を希望しているようである。

高群は混合研究法の経験が豊富であるためか、学びの資材への要望としてメンタリングの必要性を挙げている。混合研究法の学修におけるメンタリングの必要性については諸外国でも同様の状況であることが指摘されている(Frels et al., 2015; Poth & Munce , 2020)。メンタリングの具体的な方法としては、「実際に進めてみる」「仲間同士で学び合う」といった提案や、課題別(課題型演習)の提案の声が多く、実践的な学びの重要性や有用性を認識している様子がわかる。また自身の研究活動に関わる「周囲の理解不足」の側面として、「出版環境の不足」に関する語りが多いことが特徴的である。これについては、分野を横断して共通に利用可能な「論文執筆ガイド」といった研究成果の公表段階での指針を要望しており、このような指針の有用性については国際的な混合研究法研究者も指摘している(Creswell & Tashakkori, 2007; Fetters & Molina-Azorin, 2021; Guetterman et al., 2023)。この点は他群と比較して高群が混合研究法の学修レベルにおいてより進んだ段階にあるという特徴を示している。

次に中群については、自身の研究に混合研究法を使用する適切性を認識しており、「実用性が高い」「小さいサンプルサイズを補強できる」「説得力が増す」などの混合研究法の特長を挙げていた。また、Creswell et al.(2011)が強調するチームで取り組むことに対する利点を認識すると同時に、その課題(Hemmings et al., 2013; Lunde et al., 2013)についても認識していた。特に「仲間(共同研究者)が見つからない」という内容の語りが多くみられた。また、学修に対する認識として「混合研究法探究の動機付け」や「たどり着ける状態の明確化」の必要性を指摘する語りが多くみられた。このような点から、中群には実践重視の傾向がみて取れる。混合研究法の学びの経験についても、「体系的な学びがない」、「必要がない(なかった)」、混合型研究に実際に取り組んだ経験として「認識していないが、ある」といった内容の語りがあり、混合研究法をこれまで知らず知らずのうちに活用してきたため、敷居の高さを感じていないことが推察された。中群は准教授の割合が高く、年齢的にパラダイム論争を目の当たりにする経験がなかった世代と考えられ(抱井, 2014)、質的・量的研究を単一のプロジェクトの中で統合的に用いることに抵抗を感じていないとも考えられる。学びの資材に関する要望としては、「オンタイム掲示板」による「Q&A」の提案があるなど、即時に回答を求める態度が垣間見られる。

低群は、混合研究法の実践や学びについて「面白み」を感じながらも、他方で「言語の壁がある」「両方の手法を一つの研究で使用する」、そして「質の担保が求められる」ことを認識していた。質の担保については混合研究法研究者間で議論されている(Fabregues & Molina-Azorin, 2017; Hirose & Creswell, 2023; O’Cathain, 2010; Onwuegbuzie & Johnson, 2006; Perez et al., 2023; Tashakkori et al., 2020)ものの、この点がハードル認識形成の背景になっていると考えられる。また、混合研究法を用いる上では「センスが必要である」とも認識しており、これもハードルを高める要因の背景にあると思われる。

「適切な研究アプローチを選ぶことを可能にする」ので、混合研究法は有用だと認識する一方、研究実践に関して「具体性が掴めていない」ことを示唆する語りがみられた。これらの点から、低群は学びの初歩的段階にあることがわかる。また、「学びのステップが必要である」という内容の語りが多く、段階的に学ぶことを重要視する傾向の強さが伺える。実践に先立ち、混合研究法に関する十分な知識が必要であると考えることで結局研究に着手できないという様子が低群にはみられ、この点は中群と対照的な特徴である。

表9:データ変換による統合結果のまとめ


5.3. ジョイントディスプレイによる統合とメタ推論の導出

表10に統合のための分析結果とそれによるメタ推論をまとめた。学修ニーズに関して、以下のように要点が整理できる。

高群については、経験を積み一定の知識を身に付け、アウトプットを重視している傾向がある。関連して、学びのニーズは、アウトプットの仕方にある。これまでの学びのプロセスとして、フロンティア的に苦労を重ねてきた様子が伺える。また指導者的な立場として後進の学びに対するサポートの必要性の認識を垣間見ることができる。豊富な経験を背景に、混合研究法の実践における複雑さと難しさを実感しており、より深い学びに対する潜在的なニーズがあると考えられる。

中群では、学びの環境が整ってきたためか、比較的自然に混合研究法に触れる機会が多く、実践的に学び進めてきた様子が伺える。実践志向で、チームでの取り組みに前向きである。質的または量的研究法どちらかの軸足ができていることを背景として、学修の必要性も認識しているが、求める内容は個別具体的、実践的なものである。

低群は経験も少なく、着実に学び進めている段階にある。メンター不在のなかで、体系的に学びながらも実践のイメージの具体性に欠ける印象があり、学びに関してもニーズは基本的なものを要望する傾向がある。

以上のように、全体を通して、直面している困難の認識は混合研究法スキルの自己評価レベルによって異なっていることが明らかとなった。研究の工程において、高群や中群は「リサーチクエスチョンと目的の明確化」という本質的な段階、低群では「研究デザイン」の比較的初歩的な段階、加えて、低群より少し進んだ中群では「統合」の段階にも困難を感じていることが推察された。

5.4. 混合研究法への貢献

本研究では、混合研究法の収斂デザインによって、オンラインアンケートにより収集した量的データと、FGIにより収集した質的データを統合した。本研究の特徴として、分析と解釈においてデータ変換とジョイントディスプレイのそれぞれを段階的に統合するFetters et al., 2013)という、多段階統合の点が挙げられる。まず、質的データの変換による統合であり、FGIで収集した語りのデータを解釈的に分析した後に、そこから生成したコードの出現率を、Guetterman尺度の量的分析をもとに分類した3群ごとに統計分析も用いて比較検討した。次にジョイントディスプレイを用いて「新たな洞察を引き出すために、視覚的な手段でデータをまとめる」(Fetters et al., 2013, p.2143)ことで最終的なメタ推論の導出を試みている。このように、研究結果の解釈と報告のレベルにおける統合を2段階にわたって行うことで、質的データと量的データの統合分析の精度の向上につとめた。この点は混合研究法に関する重要な論点である統合のかたちや研究デザインにおける「柔軟性」に対して、具体的なケースの蓄積として貢献するといえる。

5.5. 本研究の限界と今後の展望

本研究では、八田他(2021)が実施したような、経験に基づく調査参加者の類型化とは異なり、調査参加者自身の混合研究法に関する能力の認識による主観的な評価によって類型化されたグループ間の学修ニーズを検討した。日本文化が有する自己卑下的行動を肯定的に評価する傾向(Markus & Kitayama, 1991)から、本研究で得られた自己評価データは、研究参加者がもつ実際の混合研究法の能力と必ずしも整合するものとはいえない点に注意が必要である。また、FGIの参加者は高・中・低の各群を代表するとはいえない。サンプルサイズが少ないため、参加者の個別性が各群の特徴として結果に反映されている可能性がある。

一方、混合研究法に関する自身の能力の評価という主観的な切り口によって見えてきたニーズは、参加者が主体的に認識したものであるとも考えられる。また、FGI参加者はアンケート調査者の中の各群、あるいは混合研究法を学んでいる、学ぼうとしている、または実践している看護学研究者の母集団を代表するサンプルではないものの、一部の参加者の経験から発せられた「生きた声」であることは否めない。FGIにより収集した質的データの分析によって、量的なデータでは捉えることができなかった混合研究法を学ぶ過程で直面するハードルや、さまざまな経験、態度そして認識の「ストーリー」が見えてきた。

先行研究に加えて、本研究の結果から、学びのステージをイメージし、混合研究法の学びに関する認識をとらえた上で、段階別に異なる学修のゴールを準備することや、看護の「現場にいきる研究」スピリットを形にできる学びの経験を提供する教材が有用であるという示唆が得られた。特に、「具体性を掴む」ことによって、「利点を実感」することが重要であろう。そのためにも、ハンズオンによる経験的な学修過程が有用であり、研究の「目的」または「課題」に端を発するようなケーススタディなどの教材も有用であると思われる。また、混合研究法の発展に伴って生成される専門用語や、手続きに関する作法の複雑さや膨大さが、学修者の学びを遠のかせたり足枷になってしまわないように、方法論に関する抽象的な議論の仔細を最初から提示したりしないことも重要であると考えられた。

今後は、先行研究とともに、本研究で得られた学修ニーズに関する知見をもとに、日本の看護学研究者を取り巻く文脈に即した具体的な教材開発を進めていく予定である。

表10:ジョンイント・ディスプレイ及びメタ推論


謝辞

本研究にご参加いただいた看護研究者の皆様にお礼申し上げます。また、本研究論文の査読過程において、適切で細やかなアドバイスをくださいました先生方にお礼申し上げます。

本研究は、文部科学省科学研究費補助金(基盤(B)):「看護研究における混合研究法教育用ガイドブックの開発とeラーニングの構築」(課題番号:20H03966)(研究代表者 抱井尚子)の一環で実施したものです。

引用文献
 
© 2024 Japan Society of Mixed Methods Research

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