2016 年 24 巻 4 号 p. 22-31
本論文では、中四国地域における小売業寡占化の進展を確認した後、同地域を拠点に店舗展開するチェーンスーパーを対象に、その青果物調達システムを分析した。各チェーンは出店エリアの拡大に際して地区分けを行い、それぞれにバイヤー等を配置している。スーパーは青果物の7割を卸売市場から、3割を市場外から調達している。利用する卸売市場は主に地域内の卸売市場であるが、それ以外にも遠隔産品の調達先として東京・大阪の大規模な卸売市場等を利用している。地域内の卸売市場としては、地場産品を中心に各地区ごとに同地区内卸売市場から仕入れる、分散的な仕入体制となっている。各地区店舗群の青果物需要に対する地区内卸売市場のカバー率(SRL)は本部所在地区において最も低い傾向がみられたが、これは同地区が各チェーンにとって最も消費者の指向を把握しやすく、また店舗密度も稠密なため、市場外仕入れを組みやすいことによる。