農業市場研究
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論文
タイ北部におけるジャポニカ米契約生産者の収入・費用に関する事例研究
カノオン シーマノン山尾 政博細野 賢治
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2016 年 25 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

タイにおける契約農業による日本米生産は精米企業の経営に依存している。精米企業は生産者に対して生産資材や資金をパッケージにして提供するのが一般的だが、生産者は肥料や農薬を別のルートから購入することも可能である。これが生産者の間に収入・費用状況の違いを生み出す。本研究の目的は、契約農業下にあるジャポニカ米生産者の経済的特徴を分析することである。事例の対象は、チェンライ県ウイアング・パオ郡においてサンプリング手法に基づいて抽出したジャポニカ米生産を行う生産者、その内訳は6人の集荷業者(生産者を兼ねる)、30人の農業者である。ジャポニカ米生産を行う集荷業者と農業者との間には経済構造に大きな違いがあった。生産者の所得は生産費(特に肥料)、販売価格、収量によって違ってくる。精米企業の普及サービスによって生産費が上昇することもあるが、収量増によって収入が増えることもある。事例分析によって、ジャポニカ米の契約栽培は生産者の所得を増やすのに有効であることが明らかとなった。

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