抄録
本研究の目的はベトナムメコンデルタ地帯の米契約農業の履行の状況を把握することである。メコンデルタ地帯における2015年９月の１次データと情報の収集のために、ドンタップ省とアンジャン省の107戸の米契約農家が選定された。研究によりこの地域では、米契約システムは、直接契約か間接契約か、生産投入財や技術を提供するかしないか、ということから４種類に分類され、また、それぞれのタイプには書面での契約と口頭での契約の両方があることを明らかにした。また、メコンデルタ地帯での米契約農業では契約を履行させる力が弱く、その要因は価格の不同意、籾の品質測定への不信、収穫期の企業の籾集荷能力と収穫適期にある籾量の不一致である。文書による契約の使用、農家と企業の直接契約、契約農家への生産投入財の提供が米契約の履行可能性を高めるであろう。
