2019 年 28 巻 3 号 p. 54-64
本研究では、GI発展に向けた4段階(認識、認定、報酬、再生産)のフレームワークを取り入れ、ベトナムのルックガンライチを事例に、GIが差別化のツールとして機能するための課題を明らかにした。調査結果から、1)GI申請前に規格や共同販売などに関する規定が行われていないこと、2)GI商品特性の中に生産技術などが含まれないこと、3)規格が明確でないため、地域内でGIラベルを利用できる生産者が明確でないこと、4)地域外生産者のGIラベル不正使用が横行していること、5)持続的な発展のための制度の見直しが行われていないことなどの課題が明らかになった。不正使用の法的規制、生産・販売規格の策定と生産者による順守、及び効果的な共同販売戦略の構築が急務となっている。