自律神経
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シンポジウム4
ストレスによる血中カテコールアミン遊離・分泌の中枢性調節機構
岡田 尚志郎
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2019 年 56 巻 4 号 p. 248-251

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抄録

ストレス刺激により,交感神経-副腎髄質系や視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系が活性化する.両系の活性化は,血中カテコールアミン濃度の上昇やグルココルチコイドの分泌などをもたらし,全身性のストレス反応を引き起こす.一般にストレス反応は中枢性に制御されており,多くの脳領域および神経路が複合的に関与している.その中でも視床下部室傍核は,交感神経系とHPA系の両方の制御中枢であり,ストレッサーに起因する情報入力を受けて統合したのち末梢へ出力する,ストレス反応調節の要となる部位でもある.我々はこれまで,ラット脳内に種々のストレス関連ペプチドを投与した実験系から,交感神経-副腎髄質系賦活の脳内調節メカニズムを解析してきた.その結果,投与したペプチドによって血中ノルアドレナリンおよびアドレナリン増加反応が異なることを見出し,これらの交感神経反応に関与する脳内メディエーターやシグナル経路について明らかにしてきた.中でもとくに脳内プロスタノイド(プロスタグランジンE2,トロンボキサンA2)およびアドレナリン受容体(αおよびβ受容体)の促進的関与や視床下部室傍核における調節機序に焦点を当て,ペプチド投与実験による交感神経系賦活機序のシグナル経路や,さらに,これらの機序がストレス条件下の脳内ストレス応答においても機能するか検討している.本シンポジウムでは,交感神経終末からのノルアドレナリン遊離および副腎髄質からのアドレナリン分泌の中枢性調節機構について,我々の研究成果を中心に概説する.

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© 2019 日本自律神経学会
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