2024 年 77 巻 1 号 p. 100-106
REMAP-CAP(Randomized Embedded Multifactorial Adaptive Platform trial for Community-Acquired Pneumonia)は,COVID-19を含む市中肺炎の最適な治療管理を明らかにするためのプラットフォーム試験である。プラットフォーム試験の有用性は国際的にも今後高まることが期待され,感染症領域で本邦唯一のプラットフォーム試験がREMAP-CAPである。この報告では,2022年4月第96回日本感染症学会総会・学術講演会での発表を基に,REMAP-CAPの概要について,特に日本で実施されている抗菌薬とマクロライド系薬の投与期間に焦点を当てて述べる。
抗菌薬ドメインでは,重症市中肺炎患者を対象とし,初回抗菌薬として,セフトリアキソン+マクロライド系薬,ピペラシリン・タゾバクタム+マクロライド系薬,レボフロキサシンの3つの介入のいずれかに無作為に割り付ける。マクロライド系薬投与期間ドメインでは,抗菌薬ドメインにおいてマクロライド系薬を含む介入に無作為に割り付けられた患者において,さらに標準投与群(3~5日間)または長期投与群(14日間)に無作為に割り付けられる。
プラットフォーム試験が感染症のエビデンス創出において大きな役割を果たすことが期待される。日本の研究者が,REMAP-CAPのこれらの領域への参加を通じて,プラットフォーム試験について直接的に学ぶことを期待している。