抄録
Candida属, 特にCandida albicansの薬剤耐性については, 細谷等を中心に多くの研究者によつて報告されている。伊藤, 村上等の報告によれば, いずれもTrichomycinに対するCandida属の耐性化は比較的困難であり, 正古等によれば,Candida albicans, C. stellatoidea, C. krusei, C. tropicalis等は0.25mcg/mlから出発し, 10mcg/mlまでの上昇をみとめているが, それ以後の上昇は約50代に至つてもみとめられず,C. parakruseiとC. guilliermondiiにおいては, その上昇は著明で, 最終濃度100mcg/mlに達したと報告している。また, 水野等は, 約7~8代の継代によつて16~32倍の耐性株を報告している。
私共は今回, これらCandida属3株 (C. albicans2株とC. guilliermondii1株) を用いて, TrichomycinをはじめNystatin, Amphotericin B等のポリエン系抗カビ性抗生物質に対する耐性獲得状態を検討し, さらに患者分離株, 健康者分離株の感受性を教室保存株の感受性と比較検討し, その耐性株の出現状態を調査した。その成績について報告する。