竹および笹類の葉には, 古くから防腐, 鎮咳および不老長生の諸作用があるといい伝えられているが, それら作用の裏付となる薬理研究に関する報告はほとんどみあたらず, 効能の存否は甚だ疑わしい。ただ, 笹の葉および実について, 主として家畜栄養面に関する報告は比較的多く散見される。最近に至つて, 笹葉中のクロロブイル, ビタミンKをはじめとするビタミン類および必須アミノ酸類等の成分をなるべく破壊することなく抽出して, 細胞賦活, 増血, 強心および利尿の諸薬理作用を目的とした製剤が市販されている。
著者らは, 横山胱吏氏の発案による笹葉の熟水抽出エキス分中に, 制癌作用をもつ物質が存在することを確認し, それが既知制癌剤と比較して, 特異な治療経過を辿ることを知り, その興味深い制癌機構の究明がさらに癌治療面にいささかでも貢献すれば幸いと考え, 研究速報として報告する。