The Journal of Antibiotics, Series B
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メタサイクリン (ロンドマイシン) による赤痢患者, 赤痢保菌者の治療
山上 茂赤尾 満中村 晧三
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1965 年 18 巻 5 号 p. 370-372

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抄録
Methacycline (MTC)(商品名, ロンドマイシン) は, その塩酸塩は黄色の結晶性化合物で, 下のような組成をもつている。また, このものはOrytetracyclineから4段階の過程で化学的に誘導合成されたものである。
一般に細菌試験, 動物試験では, Demethyl-chlortetracycline (DMTC) より強い効果をもつていると言われている。DMTCと比較した成績では, 犬に同量投与したとき, 血清中の濃度はDMTCより遙かに高く, かつ持続時間が長い。また, Shigella sonneiに対する発育阻止濃度は, DMTCの半量であるという成績がある。
最近の赤痢患者は, Tetracycline (TC) に対して耐性菌を分離するものが多いが, われわれの経験からして, 臨床的効果についてはTC投与例が他の抗生物質投与例とくらべて甚しく劣るとは考えられない。ただ耐性菌では治療後菌の消失がなかなかみとめられないことが多い。このようなことから, 在来のTCより抗菌力が強いとされているDMTCよりなお一層強い抗菌力をもつMTCの出現は, 赤痢治療に向つてよろこぶべきことと思う。
今回MTCを入手し赤痢患者および保菌者に試用したので, ここにその成績を報告する。
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