抄録
現在, 合成ペニシリンの分野で開発が進められているものには, ペニシリナーゼに作用されず, PC耐性ブドウ球菌に対して有効に作用するものと, ペニシリナーゼの影響はうけやすいが広域抗菌スペクトルをもち, グラム陰性桿菌等の感染症にもその適応を拡げているものと, 大別して2つのグループがある。Hetacillinは, 後者に属する新合成ペニシリンである。
Hetacillin (Dimethyloxophenylimidazolidinyl penicillin) は, Bristol 研究所で開発されたものである。その分子式はC19H23N3O4Sで, 構造式は右に示すとおりである。
Aminobenzyl penicillin (AB-PC) とほぼ同様の抗菌作用をもつといわれ, 内服, 注射両方の投与が可能である。私共は, 本剤を耳鼻咽喉科感染症に試用する機会を得たので, 主としてその臨床成績について報告する。