抄録
外科領域の感染症において, 最近菌交代現象によるいわゆる弱毒菌感染の問題が取り上げられている。グラム陰性桿菌のうちでも, 緑膿菌には, 今まで特効的な抗生剤が少く, その治療に困難を来たし, 化学療法の普及した今日, 1つの盲点であり, 問題となつている。
Kasugamycin (KSM) は, 稲いもち病に防除作用をもつ抗菌物質として開発され, 緑膿菌に対して著明な抗菌作用をもつといわれる新抗生物質である。
我々は最近, このKSMを使用する機会を得たので, その血中濃度および尿中排泄濃度を測定, 検討するとともに臨床使用成績を合わせて報告する。