The Journal of Antibiotics, Series B
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抗生物質の赤痢菌, Salmonella 菌及び大腸菌に対する抗菌試験
石橋 近重山本 郁夫後藤 亮三郎古山 量朗
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1954 年 7 巻 6 号 p. 183-184

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抄録

戦後我が国の赤痢発生数は一時減少の傾向を示したが, 昭和25, 26, 27年と順次高くなつて来つつある。群馬県下においても, 昭和25年には著るしく急増し, 届出赤痢患者は3043名, 死者610名を示し, 昭和26年にはやや減少し, 届出赤痢患者1394名, 死者460名, 昭和27年には患者1952名, 死者411名であつた。昭和28年には届出赤痢患者2938名, 死者342名を示しており, 昭和27年から届出赤痢患者は順次増加して来つつあるように思われる。
原因は種々あると思われるが, サルファ剤の乱用による素人療法及び抗生物質を使用し, 症状が軽減したので治療を中止する等, 完全治癒しない者が多いのではないかと思われる。このため, 赤痢患者の死亡率は低下して来ているが, 保菌者は多くなつて来ていると考えられる。私等は昭和28年の保菌者検査において, 地域差はあるが, 最高24.2%の赤痢菌保菌者を検出している。
最近, 抗生物質, クロランフェニコル (クロロマイセチン), ストレプトマイシン, クロルテトラサイクリン (オーレオマイシン), オキシテトラサイクリン (テラマイシン) 等が赤痢に使用され, その効果を発揮しているが, まだ自由に使用できるまでにはいたつていない。私等は昭和28年度の赤痢実態調査によつて検出した保菌者24名にコリスチンを使用し, 著効を認めたので, 諸抗生物質に対する感受性を試験して見た。その結果を鼓に報告する。

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