The Japanese Journal of Antibiotics
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小児細菌性赤痢に対するLividomycinの治験
田中 英中沢 進佐藤 肇
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1972 年 25 巻 6 号 p. 524-528

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抄録

リピドマイシン (以下LVMと略) は, アミノ配糖体に属する新抗生物質である。本剤は, 名古屋市の土壌中から分離されたStreptomyces lividus n. sp, ATCC21178によつて生産され, 興和株式会社東京研究所において開発され, 基礎的動物実験についての有効性や副作用について検討された1)。
その実験成績から, LVMはin vitroおよびin vivoにおいて, グラム陽性菌, 陰性菌, 結核菌, ことに緑膿菌に対して有意な抗菌性をもっといわれる。
LVMは, 注射剤型が先行し, 大学, 病院などの共同研究会が数回開催され2), 日本化学療法学会でのパネルディスカッション3)などで基礎的, 臨床的成績が発表され, それぞれの領域での有効性が報告されている。ただLVMは, 他のアミノ配糖体と同様, 難肢収であることから, 注射による腸管内濃度は0か, またはきわめて微量に過ぎないといわれる1)。そこで, 腸管感染症には, KM同様, 経口投与法による以外にない。
経口投与についても, 各共同機関において, 二重盲検法によつて, 治療効果などが検討されているが, 著者らもその1つとして, 細菌性赤痢についての臨床効果を検討してみたので, ここにその成績の概略を述べる。

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